美史研ジャーナル
創刊の辞
武蔵野美術大学には実技の諸学科に加えて美術理解のための教科を担当する美学美術史研究室がある。
略して「美史研(びしけん)」と呼ばれてきたが、この研究室に属する大学院課程《造形学コース》(※現、美学美術史コース)が創設されたのは昭和63年のことであった。
本コースは本学において長らく指導に当たってきた水尾比呂志先生の発案なるもので、本学ならではの理論の課程を作ること、すなわち美術大学で美術を修めた後、理論を学びたい者を中心に一般の大学の美学美術史とは異なる独自の教育をなすことはできないか、というのが狙いであった。
この目的の下に開設された《造形学コース》も十余年を経て、何らかの成果上げるに至っている。
そこでこれを紹介したいという要望から生まれたのが本誌である。
ここに、この小誌を通して本コースに学んだ者の研究を始めわれわれの活動がより広く知られることを願う次第である。
—平成16年3月—
◆美史研ジャーナル19◆(2023年度号:2024年3月発行)
<追悼>
追悼 朴亨國先生
▼朴亨國君をしのんで 田邉三郎助
▼朴亨國氏の逝去を悼んで 浅井和春
▼朴亨國との研究の経緯と思い出 黒川弘毅
▼朴亨國に関するごく個人的な思い出 岡山理香
朴亨國先生 略歴
朴亨國先生 著作目録 萩原哉・水野さや
退任特集 松浦寿夫先生
▼アクロニック 松浦寿夫
▼時の集積 沢山遼
松浦寿夫 略歴
松浦寿夫 主要著作目録
松浦寿夫 展覧会・画家としての活動歴
修了生論文
▼宮本三郎《人間群像》に見る「古典」ーミケランジェロとエル・グレコの受容ー 斎藤翔吾
研究ノート
▼フランス・ゴシック教会堂におけるトリフォリウムのトレーサリーの石組み
ー通時的比較の試み 嶋﨑礼
年度報告
▼古美術研修旅行ー大阪・奈良・京都ー 野呂碧
▼アメリカ研究調査旅行レポート 松永恵実
博士・修士論文題目 一九八九年度〜二〇二三年度
美学美術研究室教員一覧
編集後記
◆美史研ジャーナル18◆(2022年度号:2023年3月発行)
<追悼>
追悼 水尾比呂志先生
▼水尾比呂志先生を追悼する 佐野みどり
▼水尾比呂志先生を哀悼する 尾久彰三
▼水尾比呂志先生の足跡をたどって 玉蟲敏子
追悼 柏木博先生
▼柏木博さんと美術館・図書館 今井良朗
▼柏木博先生の書棚:人文学としてのデザイン史研究 井口壽乃
▼柏木博のデザインセンサー 松崎照明
修了生論文
▼クレメント・グリーンバーグにおけるカント美学ー芸術家の独創性に関する一試論 大澤慶久
研究ノート
▼エリオ・オイチシカの参加型作品における「組織的な錯乱」と「遊び」 山野井千晶
▼「着用」と「梱包」ー自作《CONTENA》を起点に 鷲見友佑
年度報告
▼古美術研究旅行ー神奈川・静岡・愛知ー 安田菜緒
▼2022(令和4)年度 修了生論文要旨
詳細情報
◆美史研ジャーナル17◆(2021年度号:2022年3月発行)
<追悼>
▼松葉さんのこと 安藤 忠雄
▼松葉一清さんのこと 柏木 博
▼松葉一清さん、最後のプロジェクト
― 横浜市における都市デザインとパブリック・アート
田中正之
▼建築資料アーカイブの新たな地平を目指して
北澤 智豊
<研究ノート>
▼未熟な願い
――西洋前衛現代芸術の導入者決瀾社、二十世紀前半における中国での失敗―― 魏 莱
◆美史研ジャーナル16◆(2020年度号:2021年3月発行)
<追悼>
▼長谷川堯先生 二層の近代を解明する 松葉 一清
▼馬杉宗夫先生 カタルーニャに魅せられた写真家たち 進藤 環
<研究ノート>
▼琳派の草花絵の背後に潜む中国絵画の影
――酒井抱一筆「四季花鳥図巻」と銭選筆「花鳥図巻」―― 玉蟲 敏子
▼小山冨士夫の現代の陶芸家へのまなざし
――一九五〇年代の陶芸展から見えてくること 木田 拓也
<研究室報告>
▼古美術研修旅行報告 ――金沢 徐 亦凡
▼ロシア研究調査旅行レポート 齊藤 翔吾
◆美史研ジャーナル15◆ 2018年
●特集 藤枝晃雄先生 追悼
未来完了形としてのモダニズム ―解題にかえて 松浦 寿夫
フォーマリズム美術批評の源流 ―イギリス観念論からフライ、リチャーズにいたるまで 要 真理子
一九一七-二〇年におけるマティスの風景画 土森 智典
日本におけるコンセプチュアル・アートの受容 ―一九七〇年代前半の美術批評におけるその一断面 大澤 慶久
●随想・研究ノート
ペンシルバニア大学シンポジウム「フィラデルフィアと明治日本」に参加して 鈴木 希帆
●研究室報告
平成三〇(二〇一八)年度 古美術研究旅行報告 ―高松・直島・豊島 斉藤 翔吾
◆美史研ジャーナル14◆ 2017年
●特集 篠塚千惠子 略歴・業績目録
自著の余話として 篠塚千惠子
白地レキュトスの描き起こし図を制作して―『死者を記念する―古代ギリシアの墓辺図研究―』のために 内野 貴洋
●修了生論文
山口華楊《日廻葵》をめぐる一考察 高橋 明子
●随想・研究ノート
関野貞と韓国彫刻史 ─浮石寺無量寿殿本尊を中心に 朴亨國
グルチャラン・シンの陶磁器コレクションから見えてくるもの─インド人留学生が見た1920年頃の日本の陶芸 木田拓也
美学的主題としての〈確かさ〉をめぐって─「リテラリズム」という争点 勝俣涼
◆美史研ジャーナル13◆ 2016年
●特集 「日本近代デザイン思想」の構築と展開
─「みんなのへや」展に寄せて 柏木 博×松葉 一清( 聞き手)
●修了生論文
高松次郎《題名》
─「単体」及び「複合体」との関連性より 大澤 慶久
エントロピーと死の欲動
─ロバート・スミッソンの《スパイラル・ジェッティ》─ 関 貴尚
●教員随想
江戸美術史のフィールドワーク
─足立・千住、国立市谷保に伝わった文化遺産─ 玉蟲 敏子
ドゥルーズ哲学における「仮構機能」の概念
─現代における、ベルクソンの「仮構機能」の展開─ 築地 正明
◆美史研ジャーナル12◆ 2015年
●特集 前田正明先生履歴・業績目録 作成◎櫻庭美咲
●修了生論文
朝鮮時代における美人画―題画詩からみた朝鮮時代の美人図の変遷― 朴美姫
高松次郎「複合体」―その思想との交点より 大澤慶久
●教員随想
《エナンチオモルフィック・チェンバーズ》の立体化―記録資料のエントロピー― 松井勝正
描かれた小型絵画――18世紀ヨーロッパの画家たちとミニチュアール作品の制作・機能・鑑賞 宮崎匠
●研究室報告
二〇一五年度古美術研究旅行報告―京都― 田中亜美
◆美史研ジャーナル11◆ 2014年
●修了生論文
知覚する身体 築地正明
アメリカ・ボストン美術館所蔵「玄宗・楊貴妃図」の調査報告 朴美姫
●教員随想
前田恭二著『絵のように 明治文学と美術』(白水社、二〇一四年) 玉蟲敏子
仏像の修理報告書 明珍素也
建築ミュージアムの資料と展示をめぐって 田中正之・松葉一清
●研究室報告
平成二十六年度報告 「男山蒔絵硯箱」に見る象徴的な図像とその解釈 【解説】玉蟲敏子・岩崎由美
古美術研究旅行報告書(長崎) 高橋明子
◆美史研ジャーナル10◆ 2013年
●修了生論文
AUDIOPHASMA ロディオン・トロフィムチェンコ
ヤン・ファン・エイク作《宰相ロランの聖母子》に関する考察 秋本真奈帆
●教員随想
ディアトレータと呼ばれるケージ・カップ 北澤洋子
アーウィン・ブルーメンフェルドの《ミノタウロス》 田中正之
●研究室報告
アメリカにおける伊藤若冲・酒井抱一・琳派デザイン展―平成二十四年度国内研究員報告の一節― 玉蟲敏子
古美術研修旅行(青森)報告 関貴尚
◆美史研ジャーナル9◆ 2011年・2012年
●修了生論文
聖家族と子羊をめぐって―プラド美術館蔵のラファエロ作品― 三浦香里
映像とテクノロジーの諸問題 築地正明
●教員随想
気になる素描―パルテノン調査小話 篠塚千惠子
エル・リシツキー、抽象美術、展示空間―非ホワイトキューブ的展示デザインの試みをめぐって― 田中正之
●研究室報告
古美術研修旅行(岐阜県・愛知県・三重県)報告 秋本真奈帆
古美術研修旅行(韓国 ソウル)報告 古賀理行
造形文化・美学美術史研究室ウェブサイト紹介
◆美史研ジャーナル8◆ 2010年
●修了生論文
イマージュと出来事の強度-機械映像の「非中枢性」の概念をめぐる考察- 築地正明
解体されるスタイル-世紀転換期のフィンランドのおけるアールヌーヴォーとナショナル・ロマンティシズム- 有賀萌
●教員随想
池上本門寺狩野家墓所見学参加の記 篠塚千惠子
〈目〉が追尾する反近代主義者の空間-長谷川堯著『村野藤吾の建築 昭和・戦前を読む』- 松葉一清
●研究室報告
古美術研究旅行(四国・瀬戸内)報告 三浦香里
◆美史研ジャーナル7◆ 2009年
●修了生論文
国文学資料館所蔵「鈴木其一書状」の分析と考察 竹林佐恵
●教員随想
パルテノン彫刻の調査とアクロポリス美術館の変遷 篠塚千惠子
21世紀COEプログラムに参加して 櫻庭美咲
●研究室報告
我欲「画蛇添足」於「権鎮圭展」 朴亨國
日本美術研究の国際交流「エリザベス・リリホイ先生のムサビ来訪/ハイデルベルク大学での授業」 玉蟲敏子
古美術研修旅行(北九州・下関)報告 杉原環樹
◆美史研ジャーナル6◆ 2008年
●特集
序・あとがきで辿る著作
●教員随想
室内という痕跡・記憶 柏木博
《レイラ》の出自 北澤洋子
二元論への抗いと境界 田中正之
東京国立博物館「大琳派展」に思うこと 玉蟲敏子
一九三〇年代デザインを巡る4つの断章 松葉一清
●研究室報告
訪問教授 文明大先生「韓国の仏教美術」 陸 載和
美史研はこんなところ 有賀 萌
◆美史研ジャーナル5◆ 2007年
●特集
長谷川堯教授 文献目録
長谷川堯教授 最終講義録 —『神殿か獄舎か』その後—
●教員随想
なぜ《叫び》は来なかったのか、あるいは来る必要があったのか。 田中正之
●研究室報告
課外講座「プライスコレクションの成り立ちについて」 竹林佐恵・朴美姫
古美術研究旅行(滋賀・京都・大阪) 宇佐美真理・高林聡子
◆美史研ジャーナル4◆ 2006年
●特集
藤枝晃雄 文献目録
●特別寄稿
「見ること/作ることの持続 後期モダニズムの美術」展覧会レポート 田中淳
●修了生論文
ミケランジェロ・アントニオーニの作品における「音」の表現について 築地正明
●研究室報告
シンポジウム —狩野家絵師の多様な仕事— 堀口泰代・成承恩
◆美史研ジャーナル3◆ 2005年
●修了生・学生論文
対峙し続けるダンサーの身体:イヴォンヌ・レイナーとジャドソンダンスシアター 久郷雄一朗
縄文土器の彫刻的造形はどこからくるのか 鈴木希帆
●教員研究ノート・随想
ベルギー・ロマネスクの美術の論争点:《リエージュの洗礼盤》を巡る論争 馬杉宗夫
リートフェルトのシュローダー邸をめぐって 岡山理香
●研究室報告
古美術研究旅行(韓国) 石垣知哉
◆美史研ジャーナル2◆ 2004年
●修了生・学生論文
西新井大師総持寺所蔵・銅板線刻蔵王権現像 太田雅子
ミニマリズムの彫刻とダンスと映画:ロバート・モリスとイヴォンヌ・レイナー 久郷雄一朗
●修了生随想
大雪に教えてもらった二、三の事柄 サラ・ティズリー
●教員研究ノート・随想
都美館でフェルメール作《絵画芸術》を見る 北澤洋子
堀口捨己の作意 —九間の生き— 松崎照明
美術館便り —2004年メトロポリタン美術館の秋— 渡辺雅子
●研究室報告
古美術研究旅行(京都) 椛田ちひろ・森美穂
◆美史研ジャーナル1◆ 2003年
●修了生・学生論文
縄文芸術序説:古器物から美術へ —その受容の変遷— 鈴木希帆
アンリ・マティスの実験的時代における絵画 土森智典
●教員研究ノート・随想
ヤドーで思ったこと 藤枝晃雄
江戸の展覧会招待状 —MOA美術館蔵「大田南畝宛酒井抱一書簡」および『尾形流略印譜』草稿の紹介— 玉蟲敏子
クメール最後の大王ジャヤヴァルマンVII世の実態 朴亨國
●研究室報告
古美術研究旅行(四国) 池田奈菜子・古川明佳
半田九清堂を訪ねて 太田雅子・宮本篤子