平成30年3月に定年退職された篠塚千惠子先生が平成30年度地中海学会賞を授賞されました。
篠塚千惠子氏は、アルゴ会をはじめとする様々な研究の場で、日本における古代ギリシア・ローマ美術史学研究の振興に尽力してきました。三度にわたる国際学術調査「パルテノン・プロジェクト・ジャパン」の一員としてアテネ、ロンドンにおける現地調査においても成果を挙げられました。また、近刊の大著『死者を記念する――古代ギリシアの墓辺図研究』(中央公論美術出版、2017年11月刊)は、研究の集大成となるもので、白地レキュトスと呼ばれる死者に捧げられた陶器の図像体系を極めて精緻かつ総合的に分析すると同時に、それを当時のギリシア社会と関連付けて論じたものとして高く評価されます。かかる長年にわたり従事されてきた古代ギリシア美術史学研究の功績に対し、篠塚千惠子氏に地中海学会賞を授与いたします。